• #NEWS
2024.3.2 update
Nadav’s Bakery @TAKIGAHARA CAFE
SHARE

彼との出会いは遡ること5年前になります。

黒崎町で養鶏をやっているしんちゃんのところでウーファーとして滞在していたナダブ。次の滞在先として滝ヶ原でボランティアがしたいとしんちゃんと一緒に訪れてくれたのが最初の出会いでした。当時ここにはまだホステルもエアビーはなく、ボランティアというシステムすらなかったけど、しんちゃんの紹介ということもあり受け入れてみることにしました。温和で優しい笑顔を見せながらとにかくよく働くナダブはすぐに滝ヶ原に溶け込んでいき、あっという間に1ヶ月が過ぎました。

ナダブはイスラエル出身で、北部にあるキブツという名前の共同生活体に住んでいます。キブツ(Kibbutz)は共同生活を中心に構成されていて、共同体主義、平等主義、共同所有を掲げるエコヴィレッジのようなものです。キブツのメンバーは土地も家も労働も収入も共有するそうです。資本主義国家の中にこのような半社会主義的なコミュニティが共存していることはとても先進的で素晴らしいと思いました。

滝ヶ原にいる間、ナダブはカフェや畑や竹藪の整備など色々なことを手伝ってくれました。「また帰ってくるよ」と言いここを去っていきましたが、その直後、不思議にも次々とボランティアの問い合わせが押し寄せました。え?なんでここのこと知っているの?と聞くと、彼らはみんなナダブとどこかのゲストハウスで会い、「滝ヶ原に行くといいよ」とナダブに勧められたとのことでした。おかげでその年は世界中からボランティアの方達が来てくれ、素晴らしい出会いと時間を共有することができました。

そして翌年の2019年夏、ナダブは滝ヶ原に帰ってきてくれました。再会の喜びを分かち合い、当時年1回開催していた滝ヶ原フェスティバルを手伝うために2週間ほどボランティアとして滞在してくれました。

その後、ナダブは農業・庭の仕事に携わり、大学での勉強を経て、2020年よりパン屋で働きはじめました。将来、自分の小さな畑とパン屋を持つミニマルなライフスタイルを築くことを目指していました。

そして去年2023年の春、3度目の来滝。2ヶ月の休暇をとり、日本に降り立ってそのまま滝ヶ原へ直行。パン職人に成り変わった彼は、ホステルにある家庭用のオーブンで見事なサワードーブレッドを焼いてくれました。小松では味わうことのできないサワードブレッド。芳醇な風味ともちもちとした食感、そして彼のソフトなスマイルが出会う人みんなの心をガッチリキャッチしました。

パン屋での仕事に戻るために帰国した直後、イスラエルでは戦争が始まりました。

彼の住んでいるキブツはイスラエルの北部、レバノンとの国境付近にあり、ガザとの戦争と並行してレバノンとも戦争になりました。そのため、ナダブが住んでいるエリアは退去命令が発動され、退去を余儀なくされてしまい、パン屋を開けることもできなくなってしまいました。

国が戦争をするから好きなことができない。寝床からはミサイルの爆発音が聞こえてくる。やばすぎる。

もし自分はそんな立場に置かれたらどうするだろうか。

個人の力では戦争を止めることはできないけれど、友達が困っているならできる限り力になりたいと思うものです。

母国でパンが焼けないのであれば、滝ヶ原でパンが焼きたいという彼の思いを形にすることにしました。

そして今年の1月、ナダブが再び滝ヶ原に帰ってきました。愛用している大きな麺棒と愛飲しているイスラエルコーヒーをスーツケースに詰めて。

現在、滝ヶ原カフェでは金土日の3日間パンを販売しています。ランチタイムにはサワードブレッドのサンドイッチが食べられます。他にも、ナダブが子どもの頃から大好きなバブカというチョコパンやシナモンロールが味わえます。

期間は一旦3月末までですので、それまでに是非カフェにいらしてください!